私はねこが好きです。
飼い慣らされたねこではなく、のらねこが。
いえねこでも飼い慣らされたねこにはならないかもしれませんが、ふてぶてしく私に懐かないねこが好きです。
そんなねこが塾を訪れないか日々楽しみに待っていますが、なかなか現れません。
都会が如何に寂しい場所かを実感します。
そんな寂しさを取り除くために、塾にはたくさんのねこを置いています。
よく生徒が何匹いるのか数えていますが、もう私でも把握できなくなりました。
「この塾にねこ何匹いるんですかー?」
と聞かれれば
「いや、分からん」
と言います。
「先生はねこ好きなんですかー?」
と質問されることも多いですが
「まあ好きな方」
と少し曖昧に答えています。
よく子どもたちは
「先生の好きな○○はなんですかー?」
と聞いてきます。
しっかりと答えてあげる方が良いのでしょうか、私の性格がそれを許しません。
冗談交じりにその時々に思いついたことを言ってしまいます。
ですがそんな私の軽口から出た冗談でも、子どもは信じてしまうので、ひどく申し訳ない気持ちになります。
子どもの純粋さを踏みにじらないように、気をつけて接しなければりません。
先生、失格。
とならないように、内省する日があります。
そんなある日、好きな色の話になりました。
皆さんは自分の好きな色をすぱっと答えられますか?
これは私の感性の限界かもしれませんが、ハッキリと答えられません。
しかし好きとまでは言わなくとも、好んで選ぶ色はあります。
ですがなぜその色を選ぶかと問われると
「なんとなく」
としか結局は答えられないです。
それではいけないと反省済みの私は、事前に用意していたある方法を使用しました。
それは、オウム返しです。
「○○さんは何色が好きなの?」
と聞き返しました。
すると
「白色!」
とこちらもまるで用意していたかのように答えてきました。
悩むことなく答えたその子の姿に驚いたので
「何で白色?」
と私にとっての難問を聞いてみました。
するとまたしても素早く
「白い犬がきれいだから笑」
と笑いながら答えてくれました。
昔、子どもの頃、家に餌をもらいにきていた白ねこがいました。
しろねこはもう一匹いたので、メスのしろとオスのじろと言いわけていました。
雨の日や寒い日は家の中にまで入ってきて、一時避難をする半のらねこといった感じです。
ですがふとした日にはけがをしてきて、のらねこらしく喧嘩をしてきた跡が垣間見えるようなねこでした。
ある日、母が何を思ったのか風呂場に連れ込み、シャワーとねこ用シャンプーでごしごしと洗い始めました。
ねこは水がきらいとは言いますが、意外と素直に従ったそうです。
毛をなめなめ風呂場から出てきたしろですが、その毛並みの美しさに子どもながら驚きました。
「きれいになったね~」
と言っていた母を覚えています。
薄汚れていたあの毛はこんなにも白かったのかと、私も感動しました。
こんな幼少期の出来事を
「白い犬がきれいだ」
という生徒のセリフから思い出しました。
犬ではありませんが、ねこの白さも負けず劣らず美しいです。
それを思うと、好きな色は白だという理由にも強く納得しました。
笑いながら答える生徒に、納得した私も思わず笑ってしまいました。
「めっちゃ良い理由じゃん」
と言いながら
「それ今度からまねして使うね」
と伝えました。
そうしたらまたもや笑いながら
「いいよ~」
と言ってくれました。
塾で子どもと接していると、凝り固まってしまった私の頭では思いつかない言葉が聞けます。
塾ならば子どもの成績アップや志望校合格が一番のやりがいかもしれませんが、個人的にはこういった子どもらしさに触れられる瞬間もやりがいの一つです。
それは自分よりも何歳も年下の子から学ぶことがあるからです。
これは意外とおもしろいものですよ。
学校に通えば、授業から学べます。
本を読めば、先人たちの英知から学べます。
旅に行けば、新しい環境から学べます。
そして子どもと話せば、純粋な言葉から学べます。
物は見方で、人生には多くの学びます。
私も今回の会話から学びがありました。
いつかまた生徒から
「先生は何色が好きー?」
と悩む質問を聞かれることがあるかもしれません。
ですが今後は大丈夫そうです。
「好きな色は白」
なぜなら
「白ねこがきれいだから」
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